退去時にトラブルになりやすい「原状回復」「敷金」「敷引き」とは
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今回は、賃貸借契約で争いになりやすい敷金の返還に関係する「原状回復」と「敷引き」について、分かりやすく解説します。
「原状回復」とは
原状回復とは、借主が賃貸借契約終了時に、故意・過失、または通常の使用を超える使用によって生じた損耗や毀損を元の状態に戻す義務を指します。明渡し時に原状回復が必要な損耗がある場合には、その修繕費を原則として借主が負担します。
ポイント
- 借主の負担になるのは故意や過失による損傷のみです
- 通常の使用による損耗や経年劣化は借主の負担になりません
- どこまでが通常損耗で、どこからが借主の責任かは明確でないことが多く、争いになりやすい点です
- 判断の参考として国土交通省の「賃貸住宅の原状回復ガイドライン」が用いられますのでまずはガイドラインに沿った検討をして、個別事情を加味していくことになります
「敷金」とは
敷金とは、借主が貸主に担保として預ける金銭です。家賃の滞納や借主負担の修繕費がある場合はその分を差し引き、残額が返還されます。未払いや修繕費がなければ、貸主は敷金を全額返還する義務があります。
「敷引き」とは
敷引きとは、契約時に敷金の一部をあらかじめ返還しないと定める特約です。契約書には「敷金のうち金〇万円は敷引きとし返還しない」「敷引金〇万円を控除した残額を返還する」などの文言で記載されます。
敷引特約は、合理的で明確に合意された場合には有効とする裁判例がある一方で、説明不足や金額が過大な場合には消費者契約法10条により無効と判断されることもあります。
敷引きの性質
- 契約ごとに意味合いが異なります(通常損耗の修繕費、空室損料、賃料値下げの代償、礼金的性格など)
- 性質によって交渉方針や対応方法が異なるため、契約書でどのように扱われているかを確認することが重要です
トラブルになりやすいケース
- 敷引きの金額や計算方法が契約書に明確に記載されていない場合
- 契約時の説明が不十分で、借主が内容を理解していない場合
- 敷引額が賃料や礼金と合わせて考慮しても不自然に高額な場合は、消費者契約法などの観点から争いになることがあります
判断のポイント
- 敷引額が契約書に明確に記載されているか
- 借主が契約時に敷引の内容を理解できるよう説明されていたか
- 敷引額が賃料、礼金、更新料などを総合して相当かどうか
- 契約全体として借主に著しく不利な内容になっていないか
専門家への相談
確認しておくこと
次の書類があると相談がスムーズになります。
- 契約書
- 重要事項説明書
- 入居前の説明の記録やメモ
- 退去時の精算書
特に確認すべき点は、敷引の金額・返還されない理由・原状回復費との関係・更新料や礼金の有無です。敷引きとは別に原状回復費が請求される場合、その内容が重複していないかも確認する必要があります。
認定司法書士が対応できる範囲
- 140万円以下の簡易裁判所での訴訟代理、和解交渉
- 内容証明の作成
- 訴状・準備書面など裁判書類の作成
認定なし司法書士が対応できる範囲
弁護士に依頼すべきケース
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